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3年10キロ計画。

3年10キロ計画。

講演紹介

 

「障害児について理解を深める講演」内容紹介

保育園で開かれた講演を感想を交えながら紹介してみようと思います。


最初に“障害”とはいったいなにか?との話しがありました。

眼が悪くメガネをかけている人。

腰痛持ちでいつも腰が気になる人。

自分は完璧と言い切れる人はまずいないのではないでしょうか。

世の中に完全な人間などは一人としていません。

そう考えると誰もが“障害”を持っているとも言えます。

では“障害”とは人間として何かが欠けている事を指すのか

と言えばそうではありません。

人と人がコミュ二ケーションをとる事が出来ないのが“障害”なのです。

例えば言葉は話せず手話しかできない人達ばかりの島に、

言葉は話せるが手話が出来ない人が一人流れ着いたらどうでしょう。

障害を感じるのは一般に健常者といわれる

言葉は話せるが手話が出来ない人の方でしょう。



人が自分と違う人を理解することは努力しても難しいことです。
一歩自分から踏み出す事無く自分ではない人を理解するのは不可能でしょう。
十人十色で同じ人間は一人としていないからこそ心を通わせあうのは難しいけど、
難しいからこそ価値もあるのだと思います。


次に市内の障害児施設についてのお話です。

市内の障害児施設は1つしかありません。

肢体不自由児から知的障害児や軽度障害児までその障害の内容を問わず

就学年齢に達するまでの子供が同じ施設に母子で通っています。


恥ずかしながら私は3年ほど前までこの施設を知りませんでした。
同じクラスに上のお子さんをその施設に通わせているお母さんかいて、
初めてその存在を知ったのです。
しかし私が特別無知だったわけでなくかなり多くのお母さんが
母子通園の施設についてはまったく知りませんでした。
知る姿勢と知らせる姿勢が、もっともっと必要だと思いました。

ここに通う子供たちの多くが市の検診などで

遅れがあることを指摘され相談にみえます。

そこで子供に障害があり今の発達年齢や

ある程度の発達の限界を知らされます。

どのお母さんも最初怒るそうです。

「わが子と初めて会ったような他人に一体なにがわかるのか?

まだこんなに小さい。

少し遅れているかもしれないけどすぐに追いつく。

こんなところに来たのは間違いだった。

ちゃんと専門の先生に診てもらおう。

この子は障害なんかない。そう証明してもらおう。」

県内外の色々な病院や専門機関をまわって、

そうしてまたこの施設に帰ってくるそうです。

お母さんが子供の障害を受け入れて

初めてスタートラインに立つのです。


私自身子供がひどい熱性けいれんを起こした時に、
医師から脳症の可能性を口に出された事がありました。
今は元気なわが子ではありますが、
あの時の絶望感はとても言葉では表せません。
施設に通うお母さん達がみんな、
あの中から立ち上がって
それを受け入れて子供を育てているのかと思うと、
心の底から尊敬の念がわいてきました。

「この子、どこまで治るかな?」

お母さんの中にこう聞かれる方がいます。

でも、障害は病気ではありません。

治るという言葉は当てはまらないのです。

子供が環境に合わせていく事もできません。

無理に合わせようとすると自傷行為などの2次障害が現れます。

環境を子供に合わせていかなければいけないのです。


私は自分と違う人を特別視しないためには、
通う園や学校を分けるのでなく
同じところにみんなで通えばいいのではないかと思っていました。
でも、それは間違っていたようです。
今のままの環境の園や学校にひとまとめで通わせても、
環境に合わせられない子にとっては
ストレスが溜まるだけなのだと思いました。
今の社会は多数派の人さえ便利ならば
それでいい事になっている場合ばかりだと思います。
ユニバーサルデザインやバリアフリーなどと
言葉ばかりが先走っていますが、
福祉がそれらに追いついているとはとても思えませんし、
福祉関係者や行政機関が積極的に活動している印象もありません。
市の母子通園施設を知らない人の多さが証明であるとも思えます。

この後、就学年齢に達した子供たちの進路の事。

障害児と呼ばれている子はやがて障害者と呼ばれるようになる事。

子供たちの親の多くは子供たちより先にこの世を後にする事。

実例を交えながらお話しをしてくださいました。


正直、涙なしには聞けないところもありましたが、
お母さん達が求めたのは同情ではなく今を知ってもらう事だと思います。
私は自分のことで手一杯の小さな人間です。
人のために何かをしようという積極的な人間でもありません。
でも、知らない事知ろうとしない事は罪であると思っています。
私の小さなアンテナが
隣にいる人の知って欲しいと思う気持ちをキャッチしたら
その時は知る姿勢でいようと思います。
それは今回のような講演を聞くという小さいことかもしれません。
でも、それを最初の一歩にする事が出来たらと思います。




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